エンジニア未経験から米国大学院コンピューターサイエンス留学

コンピュータサイエンス全般に関して未経験な私が、米国大学院(南カリフォルニア大)CS修士課程に入学し、苦闘する様子をお届けします。

【CS米国留学、俺みたいになるな】志望校選定

今回は、コンピューターサイエンスの分野でどのように志望校選定をしたのか、振り返ってみたいと思います。

 

出願当時、ネットで調べても日本人による情報がなかなか見つからず、私も手探りで志望校を選定していました。今後目指される方にとって、少しでも助けになればと思います。※出願時期は、2018年の年末から2019年年始あたりです

 

 

出願前の私のスペック

・大学時代は環境化学を専攻、数学やプログラミングは正直苦手

・大学を学部で卒業し就職し、その後プログラミング経験はほぼゼロ

・会社でテクノロジー導入の実証試験などを企画することが数回あった

 

今思うと、コンピューターサイエンスを修士で学ぶには、“?”なバックグラウンドでした。明らかになめてました。赤ん坊がヨダレを垂らすほどに。いや、ヨダレを垂らしていたのかもしれません。後に入学してから気づくのです。これは大変なところに来てしまった・・と。

 

 

で、何を学びたいのか

赤ん坊のように舐めきった私も、志願動機書を書く必要があります。当たり前の話ですが、「自分が何を学びたいのか」は、自分で考えるしかありません。

 

私自身、これまでの会社員人生の中で、運輸現場の企画、改善の仕事に従事し、新たなテクノロジーの検証なども行っていたため、それなりに「テクノロジーとヒトの境界線をどのようにデザインするべきか?悩んでいるぞ、俺」というフリをしていましたいわゆる悩みプレイというやつです

 

そんなとき、ネットで調べていたら、「どうやらコンピューターサイエンスにはHCIという、それっぽい領域がある。HCI、なんかかっこいい!」と勘違いし、自分はその分野を勉強するんだと自己暗示をするようになりました。(この頃から、やたらと独り言で“H C I”と言い出します)

 

 

勝手に売り込み作戦

次に、志望校選定へと移るわけですが、その前に、さまざまな大学の研究室H Pをチェックし、HCI領域の研究室があったら、教授に直アポして、レジュメを添付したメールを送るという「飛び込み営業」を敢行していました。

 

これは、アメリカの大学院が、コネクションを重視していると聞いていたからです。過去の研究実績がない私は、ゼロからコネクションを作るしかありません。しかし、当然ですが、送ったメールの99%は無視されました。もう気分は、売れないミュージシャンです。アメリカというのは厳しいな、アメリカンドリームの厳しさに打ちのめされているな、俺」という状態です。いわゆる下積みプレイというやつですね。この状態になれば、メールを無視されるほど、ハイになります。

 

そんな中、丁寧に返信を下さった教授の方も何人かいらっしゃいました。ある教授の返信には、「うちのコースは、PhD志願者向けだから、君は合わないかもね」と書かれており、案の定、その大学は後に不合格となりました。出願する前にお祈りされていたパターンです。厳しいなあ、アメリカンドリームは

 

結果的に、飛び込み営業の成果はありませんでしたが、自分のバックグラウンドでは、険しい道のりになりそうだ、という感触を得ることができました。(気づくのが遅いですね)

 

 

ちなみに、返信をくれた教授の言う通り、多くの研究室は、研究内容で貢献できる学生を求めています。私は出願した学校を含め、数十校の各研究室HPをチェックしましたが、そのほとんどの募集条件が、「学部時代の優秀な研究実績」であり、Masterは、PhDへのステップという印象でした。もし、学部時代や入社後に関連分野を研究しているならばPhDコースを検討するのもアリだと思います。

 

 

志願プログラムの選定

飛び込み営業で感じた、アメリカンドリームの厳しさを踏まえて、私は作戦を少し変更しました。志願動機であるHCI領域のプログラム受験に加えて、CS初心者向けのプログラムを受験することにしたのです。

 

後に私が進学する南カリフォルニア大学のプログラムもこれにあたり、他の分野のscienceやengineeringを学んだ人向けのMasterプログラムです。その他、Information Technologyというというプログラム名で、このような趣旨を持ったプログラムもあります。最近は、MBAとCSを双方学ぶプログラムも増えているようですね。

 

以下は、私が実際に受験した各大学のCSプログラムを列挙したものです。

 

 

<受験校リスト>

記念受験: Stanford University (Computer Science) 不合格

一度受けてみたかった。悔いはない。

 

記念受験: Harvard University (Computer Science) 不合格

一度受けてみたかった。そもそも若干名しか入れないとHPで明記されている。H Pが少しダサい。HCI分野の教授が1人だけいたので、連絡したが無視された。

 

○University of California Berkeley ( Computer Science) 不合格

HCI分野で優れた研究者が多く、第一志望だった。直アポを頑張ったが、返信は来ず。HPを見た印象では、CS分野をひたすら研究する人を求めているようだった。各研究室を見ると、分野はバラエティに富んでいる。アルゴリズム系や、AI、メディアアーツ、Robotics系にも強い。

 

○University of Washington ( Human Center Design) 不合格

UWは、CS分野においては全米でも超名門。UWはHCI分野専門のHuman Center Designというプログラムがあり、個人的に行きたかった学校。ただしこのプログラムも倍率が高い模様。TOEFL足切りスコアは107とHPに明記されている。

 

○University of Southern California ( Computer Science, for scientist and engineers) 合格!

CSの中でも様々なプログラムが用意されている。私が進学するのは、Computer ScienceのScientists and Engineersというコース。いわゆる理系の他分野を学んだ学生向けのもの。このコース以外にも、Data Science系やRobotics系などMasterだけでも10種類程度あった。USCは、CSに限らず様々な学部でアジア系の学生を多く受け入れているようです。

 

○University of Pennsylvania ( Computer and Information Technology) 不合格

USCと同様、このコースは、他分野を学んだ学生向けの初心者向けプログラム。H Pが古い。ご縁なく不合格。

 

Carnegie Mellon University ( Information systems ) 不合格

CSでは全米トップの大学だが、私が受けたのは純粋なCSではなく、情報システム分野。AGOSデータを見たら私よりスコアの低い人でもこのコースは受かっていたので、滑り止めと考えて受けたが、不合格だった。HCI系をやりたいというエッセイとマッチしなかったと思われる。ちなみにCarnegie MellonにはHCI専門の大学院があるが、1年制プログラムしかなかったので見送った。1年だけで良いと割り切れば、ここのHCI系を受けてみても良いと思う。唯一、出願後にビデオインタビューがあった。

 

○University of California Irvine ( Informatics) 不合格

UC Irvineは、HCI系の研究が盛んな大学である。ここもHCI専門のコースがあったが、1年制だったので避けた。(どうせなら2年がっつり勉強したかった)InformaticsにおいてもHCIの先生はいたので、アポを取ったところ返信をくださり、InformaticsはPhD志願者向けのプログラムだと言われた。

 

○University of California Davis  ( Computer Science) 合格!

UC Davisは、HCI系の先生も複数いた。直アポに対しても丁寧に返信をくれた。本流のComputer Science コースを受験したが、自分のバックグラウンドでも合格通知をくれたので、個人的には好印象。中国系の教授が多い。日本のいろんな大学が語学留学に派遣している。理由は、デービスの治安は非常に良く、気候が良いからだろう。農学部や生物学が非常に盛んで、野菜が美味しいらしい。学生はみんな自転車で移動する。日本の筑波大学みたいなイメージ。USCのcomputer scienceに行っていた私の日本人の友人も、UC DavisとUSCだけ合格通知をもらったと言っていたので、日本人との相性が良いのかもしれない。

 

 

○その他

受験はしていませんが、調査していたところの一部は下記にまとめています。

 

・MIT : CSはアルゴリズム系や数学系に偏っていた印象。HPがわかりづらい。HCI系は、メディアラボになるが、アート系が多く、自分の関心領域とは異なる印象だった。英語テストがIELTSだったので対象から除外した。

 

・Chicago :MBAとCSを混合したプログラムがある。MBAに興味がなかったので除外した。CS学部では、システム系が多かったが、HCI系が少ないため除外した。

 

UCLA  :ここもHCI系の研究室がなかったため除外した。

 

・Columbia :computer science graphics & user interfacesという学部があり、HCI系研究は充実していたが、学部時代に一定量のcomputer science科目を履修している条件があったため、除外した。

 

・Yale  :そもそもCS全体で若干名。10名程度とHPに書いてあった。

 

・University of California San Diego  :HCI系研究が充実しており、行きたかったが、学部時代にcomputer scienceを学んでいることが条件だったため断念した。

 

Georgia tech  :CSの名門。トップスクールなのに出願期限が2月と遅いのも特徴。ここもHCI系が充実していたが、CS分野の経験がないとダメという条件があったので断念した。

 

 

まとめ

結果的に2校から合格通知をいただくことができ、私はU S Cに進学することになりました。上記の他にも受験したような気がしますが、夢だったのかもしれません。2校以外は全て不合格だったので、良い具合にアメリカンドリームの厳しさを浴びる経験となりました。

 

私が今コンピューターサイエンスに所属していて、聞いている噂によると、CSの領域は年々倍率が増加しているようです。ちなみにUSCの私の学部は、学生の8割がインド&中国人です。アメリカンドリームを思い描いて渡米したのに、学内は、シルクロードの光景だったのですアメリカってのは、恐ろしい国ですね。入学後の様子は、また別の記事にてご紹介しようと思います。

ではでは!